脳細胞の新タンパク質発見 岡山大、情報伝達関与
山陽新聞 2014年10月31日(金) 配信
脳の神経細胞の情報伝達を活性化させる新しいタンパク質を、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の日浅未来助教(細胞生物学)、同大自然生命科学研究支援センターの宮地孝明准教授(生化学)らの研究グループが発見した。脳の働きの仕組み解明につながる可能性がある成果という。30日付の英科学誌電子版に論文が掲載された。
脳の情報伝達は神経細胞から伝達物質が放出され、受容体に結合することで行われる。情報伝達には「ポリアミン」と呼ばれる物質が関与し、受容体を活性化させることで知られているが、ポリアミンが分泌される仕組みについては詳しく分かっていなかった。
グループは、ヒト由来の遺伝子を組み込んだ昆虫細胞を使った実験で、神経の働きを助ける細胞・アストロサイトや神経細胞の小胞にポリアミンを運ぶタンパク質を特定。「VPAT(ブイ・パット)」と名付けた。VPATは記憶をつかさどる脳の海馬などに多く見られたという。
日浅助教らは、VPATを放出する細胞やシグナルを出す仕組みが分かれば、記憶・学習など脳の高次機能の解明が進むとみており「マウスを使った実験などでより詳しく調べたい」としている。