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臨床ニュース
海馬CA2の謎、100年の定説覆る
「歯状回からCA2への直接入力」を証明
2013年12月26日 理化学研究所 カテゴリ: 精神科疾患・神経内科疾患・脳神経外科疾患

 理化学研究所は12月19日、「海馬の歯状回からCA2への入力はない」という100年続いた定説を覆す発見をしたと報告した。また、2010年に報告された「嗅内皮質3層からCA2への直接入力」も、実は存在しないと証明した。理研脳科学総合研究センターと理研バイオリソースセンターの共同研究の成果。

 研究グループはマウス脳を対象に、免疫組織染色法、軸索標識法など多角的な手法を用い、狭くて観察が困難だった海馬のCA2領域を正確に同定することに成功した。次に、歯状回からCA2への入力を検証したところ、歯状回が直接シナプスを介してCA2に入力していることを実証した。

 今までの多くの教科書には、1911年に報告されていた「嗅内皮質→歯状回→CA3→CA1」という3つのシナプスを介する「トライシナプス性の記憶神経回路」をベースに、「歯状回からCA2への入力はない」と書かれている。今回の発見はこの定説を覆し、さらに新しい神経回路「嗅内皮質→歯状回→CA2→CA1deep」をも加えることになる。

 また、研究グループは、近年の海馬研究に大きな影響をもたらした2010年の知見「嗅内皮質3層からCA2への直接入力」は存在しないことも明らかにした。嗅内皮質3層はCA1に入力しており、CA2には入力していなかった。

 研究グループは、正確でより完成度の高い「脳の地図」を作ることで、記憶メカニズムの謎を解き明かし、神経変性疾患や精神神経疾患の理解につなげたいと述べている。