カフェインで記憶力が向上、米研究
AFP=時事 1月14日(火)15時13分配信 カフェインで記憶力が向上、米研究
【AFP=時事】カフェインを摂取すると、記憶力が高まることが分かったとの研究論文が12日、英科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」に掲載された。学生たちにとっては、コーヒー、お茶、栄養ドリンクなどを飲みながらの勉強に科学的根拠を与える研究結果だ。
米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の研究チームは、カフェインによって、ある種の記憶が形成されてから少なくとも1日間にわたり強化されることを明らかにした。
カフェインが記憶増強剤になることの証拠については、これまでは事例証拠があるだけだった。これは、例えば試験前に本を読むなどの記憶形成プロセスが、本人が情報を吸収・保持したいと熱望する状況で発生する可能性があるからだ。
このため、本人が本来持っている集中力と、カフェインの効果で生じる力とを区別するのが困難だった。
このような混乱を生じる因子を排除するため、マイケル・ヤッサ(Michael Yassa)助教(心理・脳科学)率いる研究チームは、従来とは異なるアプローチを試みた。
研究チームはまず、ボランティアの被験者73人に、植物、かご、サックス、タツノオトシゴなどの多数の物の画像を見せた。
その後、被験者を半数ずつのグループに分け、一方のグループには、濃いエスプレッソコーヒー約2杯分に相当する200ミリグラムのカフェインを、もう一方のグループには、プラセボ(偽薬)を与えた。カフェインのレベルを測定するために、1時間後、3時間後、24時間後にそれぞれ唾液サンプルを採取した。
翌日に両グループにもう一度、一連の画像を見せた。画像には、前日と同じものの他、全く新しいものや、かごの取っ手が2つから1つに変わっているなどの、微妙に異なる画像も含まれていた。
研究チームによると、前にあった画像と無かった画像との区別については、どちらのグループも正確度は高かったという。
だが、一連の画像の中から「よく似た」画像を特定する場合については、カフェインを摂取したグループの方がかなり正確度は高かった。
このテストは、カフェインが「海馬」に及ぼす効果を理解することを目的として行われた。海馬は、短期と長期の両方の記憶力が必要な「パターンの違いの区別」をつかさどる脳の部位。
ヤッサ助教は「違いが分かりにくい画像が含まれない標準的な認識記憶課題を用いると、カフェインの効果は全く検出されないだろう」と指摘。「だが、これらの良く似た画像の使用は、さらに難しい『パターン分離』と呼ばれる区別を行うことを脳に要求する。今回の実験でカフェインによって促進されたプロセスは、このパターン分離と思われる」
今回の研究は、脳細胞の健康に関する研究に役立つかもしれない。
ヤッサ助教は「カフェインは健康な長寿と関連性があり、アルツハイマー病などの認知症に対する予防効果を持つかもしれない」と述べている。
「これらは将来の研究にとって重要な課題となるに違いない」
【翻訳編集】 AFPBB News